車に搭載されている性能の中でも、一番重要なのは「止まる」という性能です。その性能に異常が起こっているサインが「ブレーキの引きずり」です。ブレーキの引きずりを放置すると、「止まる」性能を自分でコントロールできなくなります。
ここでは、ブレーキの引きずりの原因や引きずりを放置することの危険性などを解説していくので、万が一のときのための参考にしてみてください。
ブレーキの引きずりとは
ブレーキの引きずりとは、簡単にいうとブレーキが常にかかっている状態のことを指します。
普通であれば、ブレーキをかけるにはブレーキペダルを踏むか、サイドブレーキを引かなくてはいけません。しかし、引きずりが起こっていると、何もしなくてもブレーキがかかります。
といっても、完全に止まっているわけではなく、アクセルを強く踏み込めば走行できることが多いため、引きずりに気がつかないケースも少なくありません。
特に初期段階では分かりづらい症状なので、悪化してから気がつくことが多い厄介な不具合と言えます。
ブレーキの引きずりの原因
ブレーキの引きずりの原因は、ホイルシリンダもしくはブレーキキャリパーのピストンが錆によって固着することです。
正常な状態であれば、圧力によってブレーキキャリパー内のピストンが押し出され、ブレーキディスクがブレーキパッドにより押さえつけられることでブレーキがかかります。
ブレーキを話すと、ピストンシールの弾力により、ピストンが元に戻ることで走行できます。
しかし、ピストンが錆びてしまうと、ピストンシールの弾力が効かなくなるため、元の位置に戻らなくなることでブレーキの引きずりが起きるのです。
ブレーキの部品の周りは水分の影響がないように作られていますが、ダストブーツやビストンシールが劣化すると、水分が入り錆びてしまうことがあります。
ブレーキの引きずりのチェック方法
基本的に、ブレーキの引きずりは12ヵ月点検や24ヵ月点検でプロにチェックしてもらうのがベストです。
しかし、点検まで間があり、ブレーキの状態が気になる場合は自分でチェックをしてみましょう。
ブレーキの引きずりが起こると、摩擦によって発生するダストでホイールが異常に汚れたり、摩擦熱がホイールに伝わることでホイールが高温になったりします。走行後、左右のホイールの汚れ具合や温度が明らかに違っている場合は引きずっている可能性があります。
また、クリープしないというのも引きずりの症状の一つです。クリープとは、平坦な道であればアクセルを踏まなくても車が動く状態のことで、オートマチック車には基本的にクリープが起こります。
乗車定員や車の荷重、タイヤの空気圧などでクリープしないこともありますが、普通の状態でクリープしないのであれば引きずりが疑われます。
他にも、加速がしにくくなる、燃費が異常に悪くなる、異音や異臭がするという症状もあるので、少しでも当てはまる場合は点検することをおすすめします。
ブレーキの引きずりを放置する危険性
ブレーキの引きずりは、ブレーキが効いている状態なので安全と思う方もいるかもしれません。しかし、放置をすると重大な事故に繋がる可能性があるのです。
ブレーキの引きずりが起こっているのに走行をすると、摩擦によって熱がこもっていきます。その状態を長時間続けた場合、ブレーキオイルが熱によって高温になることで、気泡が溜まってしまいブレーキが効かなくなることがあります。
また、摩擦を放置すると、ブレーキパッドやブレーキローターなどの消耗品の劣化や破損が起こるリスクも高くなります。
他にも、タイヤ回りに異常な熱が発生し、ブレーキを踏むと左右にぶれる、片側のブレーキが極端に減るなど、事故に繋がる症状が起こる可能性もあるのですぐに対処しましょう。
ブレーキの引きずりの応急処置について
結論からいうと、ブレーキの引きずりは致命的な故障なので、応急処置の方法はありません。
車に詳しく分解できるようであれば、タイヤを外して、ブレーキキャリパーの錆を取り除くという方法があります。
しかし、車の分解には専門的な知識と技術が必要なので、見よう見まねでやってしまうと、他の部分まで故障してしまうかもしれません。
そもそも知識も技術もないまま、タイヤを取り外すだけでも走行が危険になるので、たとえ費用がかかるとしても修理工場などで適切な対処をしてもらってください。
ブレーキの引きずりはすぐに修理が鉄則!
ブレーキの引きずりといっても、専門知識がなければ引きずっていること自体に気がつきません。しかし、前述したように、引きずりを放っておくとブレーキが効かなくなったり、加速したくてもできなかったり、重大な事故に繋がる恐れがあります。
安全に車を走行させるには、ブレーキが正常に動くことが第一条件です。もし、少しでも
車の不調が気になる場合は、自動車分解整備認定工場である当社にご相談ください。